Longtail`s Cafe Fine Graphics

真昼の舗道で、薄暮のベランダで、深夜のファミレスで、僕は夢見るのだ。

願くば全ての瞬間、例えどんなに取るに足らないと思われるような〈時〉の飛沫であっても、それら全てが僕の感覚野と記憶の狭間で雹のように結晶となって、何時かきらきら降り注ぐ日のことを。
きっとそこではデオキシリボ核酸の抱く記憶、つまり〈歴史〉さえ驟雨と化すことだろう。

想像しないだろうか? 過去も現在も未来も空間さえも完璧に交じり合って、あらゆることに意義が与えられる…、つまり〈美〉という名前が与えられる日のことを。

僕は『What a Wonderful World』というのはそういうことを唄った歌だと勝手に思い込んでいるのだけれど、ともかく「その日」とは、例えば、マチスが新しいタブローを仕上げた日のことだ。

何らかの目的による〈焼き直し〉ではなく、敢えて何か創造しようとすることとは、例えば絵の具とか言うものをただ布に塗りつけることではなく、はたまたマウスでピクセルを編集するようなことでもない。これらは具現化のための必要であって、そんなことのずっと以前に、創造の必然を担う人の空には、その人だけの記憶の結晶が降り注いでいるのだと僕は思っている。

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