基本的に僕のグラフィック創作の核になっているのが「カット・アップ」と「オートマティシズム」という二つの概念というか方法論だ。「カット・アップ」に関しては近頃のデジタル環境というものが、ある程度イージーな意味でコラージュ文化なりを助長しているきらいもあるけれど、僕を取り巻く問題としては、やはり僕の人生をすっぽり収めてしまうこの30年間に、ポップ・アート、ニュー・ペインティング、シミュレーション・アート、さらには80年代に勃興する日本の広告デザイン文化の隆盛、あるいはテクノという思想の発明、そして映画という名の比類なき編集芸術、そうしたものの持つスピリット、いわばそれら、世界に持たらされた恍惚の〈澱(おり)〉が、今も一環して僕にカオスと向き合う表現の在り方を要請し続けるからなのだ。そう、カオスと向き合う究極の表現、それこそ「カット・アップ」なのだ、と僕の中では位置付けられている。(1999年頃の雑記)